もくわく産地だより:岐阜 / 木や森のこと

世代を超えて、街に森の恵みを届ける仕事 Part2 @岐阜県郡上市 白鳥林工

2024.04.30(Tue)

こんにちは。岐阜 長良杉を担当している白鳥林工(しろとりりんこう)です。

 

この記事を書いているのは2024年4月末なのですが、つい先日、4月にも関わらず真夏日を記録しました。気分だけでも涼んで頂きたく、雪山の写真からスタートです。

 

「もくわく」という商品は、ただただ商品を売るだけではなく、作り手の顔が見えること、産地の様子が伺えること、森林への理解を深めてもらいたいこと、などが活動の背景にあります。

 

林業という仕事がもっと身近な存在になればと思うので、紹介させて頂きます。究極の目標は、「小学生の将来なりたい職業ベスト10」です。

■林業という仕事

タイトルにPart2と付けさせて頂きました。

Part1はこちら(世代を超えて、街に森の恵みを届ける仕事 | もくわく (mokuwaku.jp))にて、植付と下草刈りの仕事について紹介させて頂きました。

その記事では、「一定の面積の木を全て伐ってしまう「皆伐(かいばつ)」という作業が行われた跡地には、新しく苗木を植えなければなりません。森林の更新を行うわけです。これを造林作業といいます。」と紹介していますが、実は植付の前に、もう一仕事あるのです。

 

それが今回紹介する「地拵(じごしらえ)」という仕事です。

■地拵とは

地拵、馴染みのない言葉ですよね。

地拵とは「植栽や天然更新の準備のため、雑草や灌木の刈払いや伐採した樹木の枝等の整理を行う作業」となります。

 

文字で書かれても分かりませんよね。

皆伐をすると、林内には大量の枝葉が残るのです。

 

こんな感じです。

枝葉に覆われて、地面が見えません。この状態では苗を植えられません。

畑や家庭菜園をされている方は想像できると思いますが、野菜苗を植える前には雑草を除去したり土を耕したりと植付の準備をしますよね、そんなイメージです。

 

そして、ほぼ全てが人力という世界です。


この大量の枝葉・灌木を寄せ集めて棚といわれる島を作り、棚と棚の間に植付を行っていくことになります。

地拵は、平らな場所ほど手間がかかり、むしろ斜面の方が捗ったりします。

地拵後は、こんな感じになります。

■時季が限られる仕事

さて野菜苗を例にあげましたが、林業という仕事は、その時季でしか出来ない仕事があります。暑い盛りの下刈り、春と秋の植栽は造林の仕事では代表例です。今ではあまり行われなくなってしまった枝打ちという仕事も時季が限られます。

その合間を縫っての地拵なので、人員の遣り繰りや前工程の遅れをもろに受けてしまう事もあります。

昨年行ったこちらの現場の地拵は、スキー場まで直線距離で2㎞もない標高1360~70m付近の現場でした。

9月頭から始めた地拵は、雪が降る頃まで続きました。

天気予報とにらめっこしながら、社員総出での地拵は、降雪前に終わらせることが出来たのは良い想い出としておきます。

■山仕事の喜び

雄大な自然の中に身を置くと、生かされているなぁと感じる瞬間。

そして、一仕事を終えた達成感は、何物にも代え難いものです。

なんといっても、人力ですからね。

そして同僚と力を合わせて完成させた!というのもあります。

■世代を繋ぐ

そんな林業の世界に、新しい仲間が加わりました。

研修を兼ねてコンパス測量に出かけました。

人は、20歳から働き始めて70歳まで働けたとして50年。

森林からすれば、ぜんぜん若者です。

 

そんな時間軸で生きているもの同士、謙虚な気持ちで、向き合っていきたいものです。

 

最後に、地拵の様子を弊社youtubeでちょっとだけ紹介しています。

https://www.youtube.com/watch?v=Xym7v3RkQ04 1:37付近~

 

白鳥林工協業組合 石ヶ谷