もくわく産地だより:岐阜 / 木や森のこと
世代を超えて、街に森の恵みを届ける仕事
2022.07.25(Mon)
こんにちは。岐阜 長良杉を担当している白鳥林工(しろとりりんこう)です。
岐阜の長良杉のもくわくは、ツバキラボさんと得意分野を分け合いながら製造して皆さんの元へお届けしています。
さて、もくわくの販売から1年が経ち、仲間が増えましたね。
奈良の吉野中央木材さん、兵庫のシェアウッズさん、福岡の八女流さん、全国から4箇所、それぞれ特徴のあるもくわくがラインナップされています。
47都道府県、それぞれ特徴のあるもくわくが並ぶことを夢見ています。
白鳥林工は、周囲をぐるりと森林に囲まれた郡上市で、山林部と木材加工部の2本柱で営業しています。
山林部=林業となりますが、「林業」と聞いて皆さんはどんな仕事を思い浮かべるでしょうか。
木を伐って搬出する仕事、生育の悪い木を間引く間伐作業、植林を経験したことがある方なら植付作業も思い浮かべるかもしれませんね。
近頃は、小学校での環境教育で森林の役割について学ぶ機会も増えてきているようなので、もっと広い範囲で知っている方も増えていることでしょう。
「林業」と一言で言っても、ほんとうに多岐に亘るのですが、白鳥林工ではざっくりと「素材生産班」「造林班」の二つに分けて仕事をしています。
今回担当するブログでは、皆さんの目に触れる事が少ないであろう林業の仕事についてご紹介したいと思います。
この記事を書いている7月、林業でもっとも過酷な作業が行われています。
草木の成長が旺盛なこの時季、庭の雑草も伸び放題、道路脇の雑草、田んぼの畦道、折角の草刈りをしても、あっという間に元通りじゃないかというほどの雑草の生命力の旺盛さを、皆さんも目の当たりにしているのではないでしょうか。
当然、山の中でも雑草の成長が盛んなのです。
え、木が生えているのに雑草が旺盛!?(雑草という名の草が無いということは、ひとまず置いておきますね)
一定の面積の木を全て伐ってしまう「皆伐(かいばつ)」という作業が行われた跡地には、新しく苗木を植えなければなりません。森林の更新を行うわけです。これを造林作業といいます。
更新が適切にされないと、土砂流出・水源涵養機能の低下等、様々な弊害が出てきます。
植える苗木は、40㎝位のものが多いでしょうか。
植えられた苗木は、その瞬間から厳しい生存競争にさらされます。
野生動物の餌食となってしまう場合もあります。
人の手で植えられた苗木、人が関与できるのは周囲の雑草の抑制だけです。後は自然に任せて大きく丈夫に育ってくれることを祈るしかありません。(柵やツリーシェルターで苗木を直接的に守る方法もありますが。)
まだ十分に育っていない苗木の周囲の雑草を刈ることで太陽の光を苗木に届け、1年でも早く成長して周囲の雑草よりも背を高くしてもらう作業が「下刈り」という作業になります。
皆伐した場所は、夏の日差しを遮るものが一切無いだけでなく、地球温暖化の影響か年々気温が高くなっています。
熱中症にならないように気を付けながら、刈払機を背負い、、、、夏のピーク時には30分と連続で作業できない程の日もあります。
今年は7月上旬から、山林部造林班は最も過酷といわれる下刈り作業に従事しておりました。
梅雨明けが史上最速、6月に各地で猛暑日を記録したことも記憶に新しいかと思いますが、その過酷さに戦々恐々としていました。
雑草に中には、くるぶしより少し高いくらい稚樹も隠れているので、目を凝らしながら救い出します。
こんなに小さくても、しっかり枝が出ていますし、葉の形もしっかりと杉の葉の形をしています。(当たり前と言えば当たり前ですが)
さて、いざ下刈り作業に着手した途端、戻り梅雨を思わせる天候。
作業するにはとてもありがたい今年の天候でした。
2週間の下刈り作業を終え、振り返ると自分達が行った仕事の成果が手に取るようにわかる。山仕事の醍醐味の一つではないでしょうか。
こうして手を掛けて育った木々が、我々が使える大きに育つまで、最低でも40年はかかるわけです。40年ではまだまだ若いですね。50~60年は必要ですね。
先人が育てた木を使わせて頂き、後世の為に木を残す。という想いで白鳥林工は日々の事業を行っています。
白鳥林工協業組合 石ヶ谷