産地・樹種を知る
≪森侖舎≫
JR中央線を東京から西に向かい、高尾駅を過ぎてトンネルを出ると緑の森が視界に飛び込んできます。
ここ津久井地域は神奈川県北東部に位置する相模原市の一部で、隣はすぐに東京都と山梨県。
相模原市は横浜から30km足らずに位置し、人口72万人の大都市ですが、市の面積の58%を森林が占めています。
その森林面積の大半を占めるのが津久井地域です。
津久井地域は明治時代の終わりまで、相模川の水運を利用した木材や薪、炭の生産が盛んに行われ、江戸、東京の街に木材や燃料を供給する産地の一つでした。
現在は針葉樹が主な人工林と広葉樹が多い天然林がほぼ半分ずつで、春先には針葉樹の濃い緑と、広葉樹の薄い緑がパッチワーク状になり美しい風景が見られます。
また現在の津久井地域の森林には木材生産と共に、水源林として重要な役割があります。
津久井の森林が水源の相模川水系は神奈川県の上水道の60%もの水を供給しており、木材生産と共に水源としての森林管理が津久井地域の林業の大切な役割になっています。
相模原市には森林政策を専門にする部署があり、水源林としての役割も大きい津久井の森を維持管理する体制が取られています。
森侖舎では津久井の森を育て、そして伐採搬出をしている、杉本林業、そしてサトウ草木の2つの林業会社から原木丸太を購入しています。
近年、林業業界は高齢化が課題となっていますが、どちらも若手スタップが活躍する、とても元気のある林業会社です。
購入した原木は、同じく津久井地区にある尾崎製材所で板に製材します。
他の地域同様に津久井地区でも一時期に比べると小規模な製材所は減っていますが、幸いにまだ数件は地域の製材所が残っています。
その中の一つ尾崎製材所の尾崎さんは、木を大切に、そしてとても丁寧に仕事されます。
尾崎製材所で製材された板材は、森侖舎のビニールハウスで乾燥を進めます。
木材は製材後に乾燥をさせることで、強度と耐久性が増します。
しっかりと水分を抜くことが「 もくわく 」のような家具を作る際には重要です。
ビニールハウス内で乾燥をすることで、露天で自然乾燥するよりも、より水分の少ない状態にまで乾燥させることができます。
一般的な乾燥装置では重油ボイラーや電気を使って温度を上げ、乾燥を進めますが、ビニールハウスの熱源は太陽光。
少し時間はかかりますが、石油由来のエネルギーを使わずに乾燥をすることができます。
森侖舎は津久井地域で育った木を使ったモノづくり、さらにシェア工房を目指して津久井に2022年に開設された木工房です。
木工旋盤を使ったテーブルウェアや小物作り、オーダー家具、さらに生木を使ったグリーンウッドワークまで木を使ったモノづくりに幅広く取り組んでいます。
森侖舎がモノづくりで使う木材の量は、建設で使う量とは比較にならない少なさなので「モノづくりで森の活性化に取り組んでいる」とは言えません。でも「津久井の森からこんないいものが作れるんだ!」と感じていただき、それをきっかけに「津久井の森ってどんなところ?」「津久井の森はどんな人が育てているの?」と津久井の森に思いを寄せていただけるようになることが森侖舎の目標です。
もくわく産地だより津久井では、もっと詳しい産地情報や、もくわくの作り方などを紹介しています!
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