もくわく開発ストーリー / お知らせ / 木や森のこと
自然と人間に健やかな未来をつくるのは、”粗大ゴミにならない家具”。私たちが「もくわく」をつくった理由。
2024.10.22(Tue)
「粗大ゴミにならない家具」で健やかな未来をつくる。
なんだかクラウドファンディングのようなタイトルですが、改めて今回は「もくわく」を生み出した”私”が、「もくわく」について語りたい! いや、語らなければ!…と思ったので。
「もくわく開発ストーリー」
読んでもらえたら嬉しいです。
家具をゴミに出すことの辛さ。粗大ゴミを減らすために生まれた「もくわく」
引っ越しシーズンに道路でよく目にする大型ゴミ。
まだ使えそうなのに…ゴミ処理場でグシャグシャにされる姿を想像して、心がギュっとなる私。
ゴミを出した人自身も、何かしらの思い出が詰まった家具を処分することは辛いに違いない。
そして、役所や業者に連絡して段取りすることも、家の外に運び出すことも、それはそれは大変だったろう。
そう思って、さらに心がギュギュッと痛くなる…。
「もくわく」は、そんな辛い思いをすることが少しでも減ったらいいように…と思って開発したのです。
木箱での暮らし
実は、私自身は大きな家具を処分した記憶がありません。
結婚して夫婦の生活、子どものいる生活と暮らし方は様々に変化し、引越しも数回経験しましたが、食器棚や本棚など、家具らしい家具を持たずに生活していたからです。
代わりになっていたものが木箱。必要に応じて少しずつ増やしながら、それらを並べたり、積んだりしていろいろなものを収納していました。
ある時は積み上げてキッチンカウンターに。
またある時はダイニングテーブルの脚になる木箱たちは、家に来てくれるお客様に興味を持たれました。
粗大ゴミを見るたびに、「みんなも我が家みたいに暮らしたらいいのに」と思ったものです。とはいえ、当時使っていた木箱は、周りの人にそのままお勧めできるものではありませんでした。
とてもラフなつくりで、ささくれで子どもが怪我をしそうだったり、大きさにばらつきがあって、重ねてもグラグラしたり、高さが揃わなかったり。収納に困る土鍋やカセットコンロなど、「これが入ったらいいのに…」と思う物が入らなくて、残念な思いもしていました。
それでも、木箱を組み替えて暮らしをつくること自体が楽しかったんです。その時の暮らしに必要な家具、あるいは「あったらいいな」と思う家具を、持っている木箱でどう構成できるか?と考えてやってみること自体を楽しんでいました。
そんな「楽しくて、粗大ゴミが減る暮らし」。
やっぱり、これを広めたい!と思ったんです。
ゴミにならない家具をつくる!
そう思って、「みんなにおすすめできる木箱」を検討し始め、重要だと思ったポイントが以下です。
・生活のさまざまなものが入る
・単なる収納棚だけでなく、デスクやカウンターにもなる
・女性でも組み替えやすいサイズ・重さ
・簡単に綺麗に重なる仕組み
・簡単にバラバラになって、単体でも使える
・きちんとした作りで、丈夫である
様々な試作をつくり、検討しました。
四隅に滑り止めをつけるなど、重なるための仕組みをいろいろ考えた結果、四角いパーツを本体の中心の凹みをつけて挟むことに。(実用新案権329951号)
この凹部分をできるだけ小さくすることで、現在の可愛いジョイントパーツとなりました。
また、重さや使い勝手を考えると、箱の形状ではなく、「枠」がいいことを発見。
こうして、現在の「もくわく」の形になりました。
とはいえ、製品の形が決まっても、商品として世に出すことは難しい。販売ルート、受注方法、在庫はどうするか…などなど、なかなかすんなりいきませんでした。
その中でも一番頭を悩ませたのは、価格です。
国産の木で、日本の職人さんにつくってもらって商品化と考えると、まぁ、いい値段になって…。
実は試作してくれている方々も、
「こんな単純な木の枠がこの値段になるなんて、商品化は無理だろう。」
と思われていたようです。
安価なカラーボックスのような材料でつくることを考えたりもしましたが、耐久性や、それが製造される過程を考えると、それは私が求めている「ゴミにならない家具で暮らす」という世界 とは違う気がしました。
そして、頭で説明できない部分、五感で、あのペタッとした質感を拒否していました。
そのような行き詰まりで、事業化がしばらく止まっていた時期もあります。
木の地産地消を推進し、日本の森を守る家具
その間に、日本の森の現状もわかってきました。
すごく単純に言うと、
「我々が木を使わない暮らしになっているので森が荒れている」ということ。
私が社会人になりたての頃、林野庁が「日本の木で住まいをつくろう!」とキャンペーンをしていたのを知っています。そして私自身、建築業界の端くれで、そういったセミナーの企画運営側にいたことも。
そんな20年以上前から言われていたことが、何も変わってない…というか、そのままほったからかされて、今、さらにひどい状況になっている。
「やっぱりこの家具は、日本の木でつくらなくちゃいけないよな!」
そう思って、ぐいっと、事業を動かしていきました。
しかし、大量生産された、リーズナブルな製品たちとは別の世界で、この家具を広めるにはどうしたらいいのか。
かつては、森の木と暮らしてきた日本人。きっと、木の心地よさは、わかってもらえる。
でも、それだけでは、難しい。
・日本の木で日本各地の職人さんにつくってもらえば、運送に掛かるコストやエネルギーの削減にもなる
→「木の地産地消」
・各地の森の木を使う
→「その森を守る」
「もくわく」の使い勝手や、木の心地よさを伝えると同時に、これらのことも伝えると、
それに賛同してくれる(もくわくを使ってくれる)人たちも増えるのではないか。
そう思いました。
…でも、売る側として、なんだか、押し付けがましい。重たい。
そう感じている私がいます。
「もくわく」を生み出してくれている森側の方々は、皆さん軽やかで…。そんな重たい責任感の元に仕事をしているというより、「自分達がやりたいから。できることをやっている」という感じです。
そして、私自身は、彼らと話をするのが面白くて…彼らのことや、木のこと、森のことを知ること自体が楽しいと思っていました。
「もくわく」で、今を豊かに! そして未来も健やかに
今、各地でマルシェが流行っています。
キラキラしたアクセサリー。ツヤツヤしたお野菜。マルシェで手に入れたものはみんな愛おしい。
なぜ??
マルシェの雰囲気、作り手さんの顔やその時交わした会話が思い出されます。
何でも簡単に手に入るようになった世の中ですが、私たちは、「作り手と繋がってモノを手にいれること」に楽しさや豊かさを感じているのではないでしょうか。
「もくわく」は、オンラインショップでの販売が主ですが、各地の工房の人から直接購入してもらうこともできますし、オンラインショップで購入した「もくわく」を、工房に取りに行くこともできます。
そう、それは、私が体感している、森に行くことや森の人と交流することの楽しさを、「もくわく」を買ってくれた人にも味わってもらいたくて取り入れた仕組みです。
オンラインショップやSNSでは、産地の情報をたくさん発信しています。
「自分のところの産地・森のことを伝えたい!」と仲間が増え、現在の「もくわく」の産地は8カ所です。(まだ増えます!)
「もくわく」は、異なる産地や樹種でも綺麗に組み合わせることができるので、様々な木を楽しんでもらえます。杉という同じ樹種でも、産地によって木目や色合い、重さなどの特徴が違うので、驚かれます。
「マルシェで農家さんから野菜を買うように、家具も産地や作り手を知って買う」
豊かな暮らしだと思いませんか。
”森を守りたい”。
”ゴミを出さない”。
「もくわく」にはたくさん想いがあるのですが、まずは、「今の暮らしを楽しく、豊かにする」こと。
それが、”健やかな未来”に繋がっていったらいいなと思っています。
あなたの暮らしにも「もくわく」を取り入れてみませんか。